なんなん
堺本店 ことのは書店 なんなん

ウサギ年、A型、おとめ座。食べることが好きです。
小学生の頃、図書室は、ほっと息ができる場所だったし、今でも本が並んでいる場所に、なんとも言えない心地よさを感じます。
子育てをきっかけに絵本の世界にはまり、小学校図書館司書や読み聞かせボランティアをしてきましたが、「娘である自分」「母である自分」「妻である自分」など、自分の肩書きが誰かの何かであることに疑問や不安を持つようになった40代半ばから様々な仕事を経験し、50歳の転職が人生で大きな転換となりました。その後、縁あって「シェア型書店HONBAKO」の立上げに参加、店長として本のお仕事に戻って来ることになりました。HONBAKOでは、本、人を通して、人生を噛みしめています。

名刺代わりの10冊

  • ・求めない /加島祥造
  • ・ザガズー /クェンティン・ブレイク
  • ・100万回生きたねこ/佐野洋子
  • ・精霊の守人/上橋菜穂子
  • ・西の魔女が死んだ /梨木香歩
  • ・博士の愛した数式 /小川洋子
  • ・恋愛中毒 /山本文緒
  • ・傲慢と善良 /辻村深月
  • ・コンビニ人間 /村田 沙耶香
  • ・私の知る花 /町田そのこ

会う、逢う、遭う、遇う

こちらの投稿は[あと42時間]、salonメンバー以外の方にもお読みいただけます。
今日は、HONBAKO堺本店の箱主総会でした。

堺本店では、月に1度、Funプラン有志で「箱主総会」を行っていて、HONBAKOのこれからについて話し合っています。今日はなんと第44回!
積み重ねてきた時間を感じます。

グランドオープン前から始めたこの総会で、(お菓子を食べながらw)たくさん対話を重ねてきた時間は、大切なHONBAKOの歴史です。

最近は諸事情からオンライン開催の時もあり、今回も新しい箱主さんを交えた画面越しでの再会でしたが、リアルで会う楽しみとはまた違った心地よさがあり、貴重でゆたかな時間を過ごしました。

ところで、皆さんと「あう」ことを表現しようとPCで打つと、たくさんの変換候補が出てきて、日本語の深さを感じます。

「会う」:一般的に使われる。
「逢う」:感情的な重みや特別な思いを含む。  
「遭う」:望まないことに直面する時に使う。  
「遇う」:「たまたま」「偶然」出会う。  

皆さんがHONBAKOに「遇って」くれて、箱主さんと「会う」ことができ、関係を深めていく中で「逢う」ことを楽しむ……といった感じかな。

前置きがずいぶん長くなってしまいましたが、今回読み終えた本は、この「遭う」「会う」「逢う」「遇う」が見事に交錯する物語でした。

『熟柿』佐藤正午 著/角川書店


真っ白な背景に柿の絵がひとつ。
タイトルと著者名だけが描かれた表紙は、シンプルながらとても印象的です。
本好きの方のサイトで「おもしろかった!」というコメントを見かけ、この表紙に惹かれて手に取りました。(見返しのオレンジ色もいい感じ♪)

妊婦である主人公が事故に「遭い」、ひき逃げの罪に問われ、服役中に出産。
刑期を終えてから、息子に「会う」ことだけを目的に生きていく中で、転々と「遇う」出来事、そして「逢う」人々。

主人公の一人称だけで進む物語は、消えない罪への自責の念、執着と不運が絡み合い、読んでいると息苦しくなるほど。「どうして」と問い続けながら、ページをめくる手が止まらず読了。
(早見和真さんの『イノセント・デイズ』を読んだ時の感覚に似ていたかも。)
最後に救いがあったので助かりましたが、「次はもう少し軽い本を読もう」と思ってしまう一冊でした。

ちなみに「熟柿(じゅくし)」という言葉には「熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時期が来るのを待つこと」という意味があるそうです。

最近、つい答えを急いでしまいがちながら、「その時」を待つことの大切さを感じていた私にとっては、ハッとさせられるタイトルなのでした。

コメント 1件

  1. 末広文庫 なぎら 2026.03.22

    箱主総会お疲れ様でした。 オンラインと言えど、思いを伝え合うやり取りは温かく、心に響きました。 佐藤正午さんと言えば「月の満ち欠け」を思い浮かべます。つい最近も中道さんもよくご存知の方が手にしておられて。 「熟柿」、中2の男子が読みたいとリクエストしてくれました。びっくりですが彼なら納得。私も読んで、感想を言い合いたいなと楽しみにしています。 色々な「あう」も「熟柿」という言葉の意味も深いですよね。 時が経って、探し続けた答えに辿り着けたかもしれないと感じることが増えた気がします。 年齢を重ねる醍醐味であるかもしれません。

    返信

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